2011年11月8日火曜日

第34回 神経科学大会_レビュー その3

今回の抄読会も第34回神経科学大会のレビューを行ったのでその概要を紹介。
キーワードは、「DNA methylation」






2009-2011年にかけてのDNA methylationに関する発表数とその形式について
図1- Aからわかるように、シンポジウムの数が年々増加しており、それらの内容としては、神経発達や精神疾患関連のものが多かった(図1- B)。
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以下、興味深い発表を行っていたラボについて

奈良先端科学技術大学
このラボは、神経幹細胞の分化におけるエピジェネティクスの役割を調べている。
再生医療への応用を期待される分野であり、非常に注目度の高いテーマ。

2011年11月2日水曜日

姉妹研究室の引っ越し

本ブログオーナーズの所属する研究室から、姉妹的に誕生した研究室がある。

その研究室が、これまでの仮住まいから、新しく建った研究棟へ引っ越しすることになったので、我々も、部屋の中の整備(間取り決定、  什器購入、 鍵発注、…)や引っ越し業者の手配など、
あれこれお手伝いをした。

引っ越し先は高層ビル。富士山が見える高さだ。

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その結果、抄読会が減ったので、ここのブログにアップする記事がなかった。
という言い訳。

もう少ししたら北米で国際学会に出席するので、また記事が書けそう。
旅行記とか。

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複数大学にまたがる連合大学院というシステムで、大学院生や研究者を募集しているらしい。

2011年10月7日金曜日

科学系ニュース_2011.10.7

▼X染色体のmicroRNAが男女の免疫を分ける?
すべてのmicroRNAの10%はX染色体上にあるという。microRNAの働きはまだわからないことだらけだが、免疫やがん発症に関係する可能性があり、そうであれば、高密度にX染色体に存在するmicroRNAが男女の寿命差を生んでいるのかもしれない。

短いreviewでわかりやすいです。おすすめ。
男女では出産比率が違いますからね(男が多い)。生物的には男が弱くなる仕組みがないと男余りに。
慣習で男余りになっている大国もありますが…。

▼VitB12関連指標と脳萎縮
VitB12不足に関連した血中マーカー濃度が(MethylmalmonateやHomocysteine)が認知機能低下や脳萎縮と関連。

ホモシステインレベルを下げるサプリメント摂取(葉酸、ビタミンB6,12)が脳萎縮を抑制するなんて結果も出ていますね。


2011年10月3日月曜日

第34回日本神経科学大会 レビュー2:NIRS、fMRI


研究室の抄読会での学会レビュー企画、第2回目。
(9月14~17日にパシフィコ横浜で開催された第34回神経科学大会Neuroscience2011)

NIRS(fNIRS)とfMRI関連の演題からピックアップ。
以下は一部抜粋。
記号と数字は演題番号。
学会HPで公開されているタイトルや抄録以上の内容を含まないようにしている為、本ブログ上でそれぞれの記事はごくさらっとしか触れない。

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2011年9月27日火曜日

第34回日本神経科学大会 レビュー

研究室の抄読会。
9月14~17日にパシフィコ横浜で開催された第34回神経科学大会Neuroscience2011のレビューと題して、参加者各自が面白いと思った演題を紹介しあった。
以下は一部抜粋。
記号と数字は演題番号。

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S2-F-2-3
「眼球運動と瞬目計測による自閉症の社会性障害の探究」

自閉症スペクトラム患者と対照被験者とで、会話や演説の映像に対する眼球運動や瞬目行動の違いを見た研究。

(関連して、英国のサヴァン、ダニエル・タメットの本や、自閉症患者に仮託して書かれた小説『夜中に犬に起こった奇妙な事件』などが話題に上った)

2011年9月6日火曜日

科学系ニュース_2011.9.6

▼若い血は脳を若返らせる?
若いマウスと老マウスの循環をつなげてやると、若いマウスの認知能力は下がり、
老マウスは上がる。神経新生が変わるらしい。その因子は血中にあるケモカイン、
CCL11だと。
http://www.nature.com/nature/journal/v477/n7362/full/nature10357.html

若い血が欲しくなりますね。老齢マウスでも神経前駆細胞は生きているから、
環境が整えば脳は若返る可能性。

▼長時間労働は生産性を高める?
Look at Quiñones-Hinojosa's labo. Labo members work so hard even over Christmas
and New year, which sounds pretty unusual for westerners for me.
The boss, hard working surgeon, let his cancer patients to attend the lab meeting,
which reminds the lab members the urgency of their work.
Does such kind of working style produce better results than 9 to 17 work style?


まぁ強制されなければ、好きな時間だけ研究できるというのはある意味特権ですよね。
院生時代に戻りたくなります。

▼組織透明化試薬 Sca/e
理研のお仕事。写真を見ること。
蛍光たんぱくの発光を阻害しないのがミソ。

もっともこんな試薬はすでにある。深さが500μと浅いですね。

2011年9月5日月曜日

GABAA受容体は海馬神経新生を時空間特異的に制御

Spatiotemporal specificity of GABAA receptor-mediated regulation of adult hippocampal neurogenesis
Venceslas Duveau et al

神経新生にGABAの伝達が重要であることは以前から報告されていたけれども、GABA受容体のどのサブユニットがどんな役割をしているのかはまだ解明されていませんでした。
GABAA 受容体にはポストシナプスに発現していてPhasicな抑制に関与するものと、シナプス外に発現していてTonicな抑制に関与するものがあります。この研究ではPhasicなGABAA受容体に含まれるα2サブユニット、TonicなGABA受容体に含まれるα4、δサブユニットのそれぞれのKOマウスで海馬Dentate gyrus(DG)の神経新生がどう変化するかを調べています。

その結果、α2とα4サブユニットはそれぞれ神経新生に特異的な役割を持つことがわかりました。