2012年3月14日水曜日

思春期は恐怖記憶を消去しにくい

Kim JH, Li S, Richardson R.
Cereb Cortex. 2011 Mar;21(3):530-8.

思春期(Adolescence)は多感な時期であり、うつ病や自殺等の予後に対する個人差が大きい時期でもある。

近年ではMRIやSPECTといった脳を撮像する技術と動物実験の目覚ましい発展により、以下の2つのことが示唆されるようになった。

1.前頭前野が思春期に劇的な変化を起こすこと。
2. その前頭前野の変化が思春期の多感性や精神疾患の予後に影響を及ぼすこと。

そこで、成長過程と長期的な恐怖記憶消去の関係についてラットを用いて調べてみようというのがこの研究。

2012年3月7日水曜日

記憶形成における脳波律動とBOLD信号の関係

The relationship between brain oscillations and BOLD signal during memory formation: a combined EEG-fMRI study.
Hanslmayr S, Volberg G, Wimber M, Raabe M, Greenlee MW, Bauml KH.
J Neurosci. 2011 Nov 2;31(44):15674-80.
(Baumlのaはウムラウト)

記憶とは、多くの研究者が興味と関心を寄せている認知機能の1つである。

「記憶の遂行中にヒトの脳はどうなっているのか?」この疑問を解くために脳波を使用した有益な研究が行われてきた。
例えば、記憶の「獲得」時には、シータ律動の増加とアルファ/ベータ律動の減少が起こることが報告されている。
しかしながら、脳波の測定だけでは、関与する脳部位や脳波で得られた特定の周波数変化が何を意味しているのかわからないのである。

2012年3月1日木曜日

恐怖条件付け/消去と、樹状突起スパインのremodelling

Lai CS, Franke TF, Gan WB.
Nature. 2012 Feb 19. doi: 10.1038/nature10792.

恐怖条件付けは新しい記憶の獲得である。

動物に未知の音刺激と、タイミングを合わせて電気ショックなどの痛みで恐怖を繰り返し与えると、その音を聞くだけで恐怖反応を示すようになる。
単独音刺激の後に起きる恐怖反応としては、マウスならすくみ上がる行動、ヒトなら発汗や瞬きなどで検出できる。

対する恐怖記憶の消去現象のメカニズムは、意外なことに記憶の消去そのものではなく、これも同じく記憶の獲得(上書き)だと考えられている。