2013年2月16日土曜日

ヒトの脳を非侵襲的に刺激できる?





ヒトの脳に対する非侵襲的な刺激法の1つに、経頭蓋直流刺激Transcranial direct current stimulation (tDCS)法がある。
これは、頭に弱い直流電流(1-2 mA)を通すことで、神経細胞(グリア細胞?)の活動を修飾することが可能と考えられている。その作用機序には不明な点が多いが、今のところ「刺激部位にある細胞の静止膜電位を変動させる作用(閾値下)がある」と言われている。

近年、この刺激法を用いた研究をよく目にする。そこで、具体的にどのようなことに応用が可能か、また、限界は何かといった点について気になったので、いくつか論文を探してみた。


2013年2月15日金曜日

サイコパスの脳




Reduced prefrontal connectivity in psychopathy
Motzkin JC, Newman JP, Kiehl KA, Koenigs M
J Neurosci. 2011; 31(48):17348-57

私たちは日頃何が好きだとか嫌いだとか、色々な感情を持って生活していて、それがあたりまえだと思っている。しかし世の中には感情が乏しく、他者への共感や罪悪感を感じにくい人々がいる。
サイコパス(精神病質者)と呼ばれる人たちである。

サイコパスは他者を思いやることがなく、平気で嘘をつき、責任感がないなどと言われている。衝動的で、犯罪歴がある人が多いのも特徴の1つ。成人の囚人のうち1/4はサイコパスであるという説もあるようだ。

その一方で、口が達者で表面的には魅力的に見えるともいわれる。適応したサイコパスは、表面的には普通の情動をもっているかのように振る舞う術を身につけていて、一見その人がサイコパスだとは分からない。

なにやら怖い、という印象を受けただろうか。

今回紹介する論文は、そんなサイコパスと呼ばれる人の脳を非サイコパス者(ここでは便宜上、健常者と呼ぶ)と比較し、脳内のコネクションが弱いことを報告したもの。


2013年2月14日木曜日

思春期を制御する「キス」

Timing and completion of puberty in female mice depend on estrogen receptor alpha-signaling in kisspeptin neurons.

Mayer C, Acosta-Martinez M, Dubois SL, Wolfe A, Radovick S, Boehm U, Levine JE.


Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 Dec 28;107(52):22693-8.
doi: 10.1073/pnas.1012406108.

今回は思春期に関する論文を紹介します。

 思春期といえば、何となくむしゃくしゃしたり、急に異性を意識するようになったりと、心が大きく変化する不思議な時期。いくつかの精神疾患ではこの時期を境に有病率が増加することが知られている。大人への階段などと形容されたりもし、一般的な認知度はかなり高いものの、知られていないことは多い。例えばどの様にして思春期は始まり、進行していくのだろうか?