2012年7月18日水曜日

実験デザインが脳に偽陽性を生む

Eklund A, Andersson M, Josephson C, Johannesson M, Knutsson H.
Neuroimage. 2012; 61(3):565-78.

先日に引き続き、fMRIの妥当性の研究のご紹介。

本研究では、resting conditionのfMRIデータばかりを大量に(1,484人分も!)集め、推定値ではなく真の値に近い偽陽性出現率(Familywise error rate)を調べている。
解析に用いたのは、やはり今最も使われているSPM8である。

resting conditionの撮像なので、仮想的に設定した認知タスクと同期した脳活動があるはずがないのは、死んだ鮭と同様である。

興味深いのは、fMRIのタスクデザイン、TR(repetition time)などの撮像パラメータにより、偽陽性出現率が変化するという結果である。

1. 事象関連デザインよりブロックデザインの方が出現率は高くなる
2. 両デザインともevent/blockが長いほど出現率が高くなる
3. TRは(1,2,3秒の条件で比較して)、短いほど出現率が高くなる
ということが判明した。
TR=1秒、30秒のブロックデザインという、悪条件をそろえたら、偽陽性出現率はなんと70%にも及んでしまった。
よく使われるTR=2~3秒、20~秒のブロックデザインでも、偽陽性出現率は20%を下回らない。

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鮭論文に引き続き、なんと恐ろしい、かつ挑発的な結果であろうか。

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Photos: Fireworks in Omagari, Akita, Japan
(One of Greatest Firework Festival in Japan)

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