2012年5月22日火曜日

嗅覚の異常は不安の原因

Olfactory deficits cause anxiety-like behaviors in mice
Glinka ME, Samuels BA, Diodato A, Teillon J, Feng Mei D, Shykind BM, Hen R, Fleischmann A
J Neurosci. 2012 May 9;32(19):6718-25.

不安症状と言うのは様々な感覚刺激が引き金となって誘発されるが、一方で感覚をなくすことが不安にどのような影響を及ぼすのかはあまり分かっていない。

この論文は遺伝子改変マウスを使い、嗅上皮からの匂いの伝達がおかしくなると不安様行動が増加することを見つけたもの。

いわゆる「普通の匂い物質」と「フェロモン」は、鼻の中でも異なる場所で感じ取っている。匂い物質の情報は嗅上皮(MOE)から脳の主嗅球へ伝達され、フェロモンの情報は鋤鼻器(VNO)から脳の副嗅球へ伝達される。




これまでの論文では主嗅球と副嗅球をまとめて破壊し、行動変化を観察したものが多かった。嗅球の破壊は嗅覚をなくすだけでなく、睡眠パターンの変化や性行動、攻撃行動、母性行動の消失、そして不安、うつ様行動を示すことが分かっている。

この論文では遺伝子改変マウスを使ってMOEとVNOの機能異常を分けて調べることに成功している。その結果、MOEの機能を欠失したマウスは不安様行動が増加し、一方でVNOの機能を欠失しても不安様行動に変化はなかった。

MOEと同様の不安様行動の増加は、匂いの伝達が錯乱状態となっている別の遺伝子改変マウスでも観察された。

ストレスホルモンと呼ばれるコルチコステロンの血中濃度が増加していたため、嗅覚の異常は慢性的なストレス状態をつくり、それが不安様行動の増加に関係するのではないかと考察している。


******************************************
最近友達がインフルで嗅覚をやられ?なんか、私イライラする!とか言っていたので
ちょっと気になった論文。
はやく治れー

Photo: vietnam

0 件のコメント:

コメントを投稿