2010年5月23日日曜日

訓練により脳白質構造が変化する

Training induces changes in white-matter architecture.
Scholz J, Klein MC, Behrens TE, Johansen-Berg H.
Nature  Neuroscience. 12:1370 -1371.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19820707

MRIの撮像法の一つ、拡散テンソル法DTIを用いて、訓練によるヒト脳白質構造の変化を捉えた報告。動物の実験では白質の髄鞘化などの所見が見つかってきていたが、ヒトでは世界初だとか。
24人の被験者が、①訓練前と、② 3 ball cascadeというジャグリングの訓練を6週間実施した直後、それぞれ撮像を受け、訓練の前後で脳断面像の比較をした。
ジャグリング例:http://www.youtube.com/results?search_query=3+ball+cascade&aq=f
DTIで後頭葉・側頭葉Intraparietal sulcusの深部にある白質のFA信号増強を認めた。その周辺の灰白質で分子密度の増強も認めており、両組織の構造変化に関連性があることを示唆した。


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DTIは生体組織内の水分子の拡散の方向と大きさを、FA信号という形で定量化する方法である。脳白質は線維構造をもつため、その中の水分子は線維に沿って、ある程度偏った拡散方向をもつ。白質のFA信号の差は、神経線維の髄鞘化などにより変化することが判っている。

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内容はだいぶ割愛した。

24人という、脳画像研究においては多めの被験者を用いているのに、グラフのエラーバーがけっこう長い。多くの被験者に共通して白質変化はあるだろうが、それは単に訓練によるものだけでなく、加えて何かの要素がノイズとしてあるのだろう。
私自身がDTI研究の経験がなく、あまり詳しくないので、実験方法が適切なのか、評価ができないのがまいった。

しかし、こんなシンプルな研究がまだ成されていなかったとは。
驚いた。

1 件のコメント:

  1. サルの実験しか見たことないので、いい情報を入手出来ました。
    読んでみます。

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