2012年9月26日水曜日

第35回神経科学大会の報告~恐怖、性差~


今回の抄読会は神経科学大会の発表についての報告会であったので、その内容を抄録から逸脱しない範囲で紹介したいと思う。
キーワードは、『恐怖』である。オンライン検索システムであるRASTに『fear』と入力した際に該当した4年間分の発表数をまとめた(右図)。どうやら、ここ3年間で恐怖に関する発表数に目立った変化はないようだ。

2012年9月11日火曜日

食行動の改善は、血中BDNFを増やす

Recovery of low plasma BDNF over the course of treatment among patients with bulimia nervosa.
Yamada H, Yoshimura C, Nakajima T, Nagata T.
Psychiatry Res. 2012 Mar 16.

 過食症患者ではBDNFが低値であるが、行動プログラムによる食行動改善により血中BDNF値も改善されたという研究

 Brain-derived neurotriphic factor(BDNF)とは、脳由来神経栄養因子であり、神経細胞の発生や成長、維持、修復に関与し、さらに学習や記憶、情動、摂食、糖代謝などにおいても重要な働きをする分泌タンパク質である。神経由来因子(neurotrophin)とは、神経細胞の発生、成長・維持・再生を促進させる物質の総称であり、これまでにさまざまな栄養因子が同定されている。神経栄養因子として最初に発見されたのは神経成長因子(NGF、1951)であり(発見者Levi-Montalchiniらはノーベル賞受賞、1986)、次いで1982年にNGFと近縁の遺伝子産物として脳由来神経栄養因子(BDNF)がBradeらによって発見された。(Nofujiら、2009)