2012年1月10日火曜日

予演会

1~3月は、大学院修了のための論文審査が行われる季節である。

自分がやってきた研究を論文にまとめて提出する、だけではない。
本審査はたいてい、自分の担当でない複数名の教授の前で口頭発表するのだ。

もちろん発表後には質疑応答の時間も設けられていて、学会・研究会で発表するのに似ているのだが、「審査される」という気持ちがあるので、どうしても少し違う緊張がある。

そもそも院生などは、どこかで研究発表する経験が乏しいので、何だって緊張はする。



そんな緊張を和らげ、想定される質問の幅を増やし、上手に回答できるようになるには、やはり実際に発表と質疑応答を経験してみるのが手っ取り早い。
この研究発表の予行演習を、予演会と呼んだりする。

聴衆は、まさか本審査を担当する異分野の教授にお願いするわけではない。
幸い、研究室には教員や研究者がいるので、「皆さんのお時間の良いときに、私の予演会をさせてくださいな」と言って人を集めることで、予演会を行うのである。

予演会にはいろんなメリットがある。

・自分の研究分野についてあまり詳しくない、本審査の審査員(他研究室の教授)とは異なり、同じ研究室に所属するものであれば、研究の背景、研究手法などについても詳しく知っているので、議論も白熱し、より適切な表現を教えてもらったり、新しい考察が閃くこともある。
・しかもそれを、知己の人たちで出来るので、緊張もしにくい。
・指摘するのがためらわれるような初歩的なミスも、親しい間柄であればこそ、指摘してもらえるので、大事な発表の場で恥をかくリスクが減らせる。
・新しい研究のアイデアも生まれることがある。
などなど。

ふだんお茶飲み場/休憩室にしている場所が、カンファレンス室となり、プロジェクタでスライドを投影しながら発表し、周りの人は質問したり間違いを正したりする。

研究室という場所は、ときどき予演会場となり、
研究室という組織は、ときどき予演会の聴衆になるのである。

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今回は研究室のふだんの様子、というお話。

Photo:
Sky reflected on the water, Kenrokuen, Kanazawa, Ishikawa, Japan

1 件のコメント:

  1. 書こうと思いつつ、なかなか書けずにすみませんね…。

    予演会は確かに本番前の練習以上の意味を持つことが多いですね。
    でもまぁ色々知っているだけに、本番の予想もつかない方向からの質問も出にくいのですが…。

    本番、ハプニングにもめげず、お疲れ様でした。

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