2012年10月31日水曜日

Neuroscience2012(SfN) 学会参加の旅行記 3

学会場のすぐ隣にあるRiverwalk Marketplaceは、ランチやおやつを求める学会参加者で連日賑わう。

ここにあるCafe Du Monde(本店日本)の支店でベニエという名物ドーナツを食べた。
揚げたてで熱々のベニエは、さくさくもちもちとした甘くない生地である。
これに粉糖をどっさりかけてちょうど良い甘さになっている。量もほどほどで、おやつに良い。
ただ同じく名物のチコリ入りコーヒーは苦手だった。



ニューオリンズいちの繁華街the French Quarterへは滞在中に何度も行った。

ここではスペイン/フランス統治時代の面影を残して、細かな装飾の施されたアイアンレースのバルコニーを誇る建物が街並みを作って壮観なのだ。
それらは単に住宅としてだけではなく、居酒屋・バー・ライブハウス・土産店・ギャラリー・アンティーク屋として活躍中である。

また街全体の治安が悪いので、夕飯どきに出かけて(比較的)安全な場所が他にないというのも理由の一つ。観光客はたいていこのエリアに行くことになる。もちろん学会参加者も多数見かけた。

2012年10月30日火曜日

Neuroscience2012(SfN) 学会参加の旅行記 2

学会参加初日。

会場はErnest N. Morial Convention Center。地図で見ると昨年のワシントンDCの学会場のほぼ倍の広さ、幕張メッセの1.5倍もある。周辺区画と比較して5ブロックほどの土地を占める巨大な建物だ。
学会は1Fの大半をポスター会場と企業ブース、2F以上を口演会場に使っていた。
フードコートは複数あり、いずれもルイジアナ州名物のポーボーイ(フランスパンのサンドイッチ)やガンボ(米入りオクラスープ)、catfish(ナマズ)料理などのほか、果物や普通のホットドッグもある充実ぶりで、しかも安いのでなかなか便利。

しかし、それらは明日以降も同じメニューなので今日は無視。
まずは会場近くで毎週土曜にやっている朝市Farmers' Marketへ行った。
昨年行ったワシントンDCの朝市よりは随分小さめで寂しい。蜂蜜、パン、野菜などがあるのは同じだが、川・海が近いせいか、車海老ほどもある大きな海老を量り売りしていたのが目新しい。季節次第では牡蠣やカニもあるかもしれない。とはいえ、旅行中に海老を買うわけにもいかず。
結局Satsuma(温州みかん。なぜ薩摩?)12個/$5と、自家製チョコマフィンを買った。なじみのあるみかんの味が、現地の味覚に慣れるまで、我々に舌のソフトランディングを許してくれた。その代わりチョコマフィンは衝撃的な甘さだった。何事もバランス、いやできれば中庸をお願いしたいと思った。

2012年10月29日月曜日

Neuroscience2012(SfN) 学会参加の旅行記 1

 北米、ニューオリンズで開催されたNeuroscience2012という世界最大の神経科学会に参加した。
我々の研究室と姉妹研究室からは、複数のポスター演題を発表した。

以下はその旅行記。

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成田から出発。幾多の学会を経て国際線のチェックインにも慣れてきた院生諸氏は、待ち合わせて相談するまでもなく搭乗ゲート前で合流。

今回はDeltaではなくUnited Airlinesで行く。搭乗したUA機は全体に清潔感があり、CAさんの応対も丁寧か。食事は結構おいしいし、ディスプレイは各自にあるしで、ちょっとお得感あり。仲間内では高評価だった。
途中、「お医者様はいらっしゃいませんか」というあの放送が流れた。数人の医師が現れたが、客室の後ろの方に集まっていた。みんな学会参加者だから神経系ばかりだろうなあ、と推測。結局病状は大したことも無く治まったようで、患者らしき人も後ですっと席に戻っていた。

2012年9月26日水曜日

第35回神経科学大会の報告~恐怖、性差~


今回の抄読会は神経科学大会の発表についての報告会であったので、その内容を抄録から逸脱しない範囲で紹介したいと思う。
キーワードは、『恐怖』である。オンライン検索システムであるRASTに『fear』と入力した際に該当した4年間分の発表数をまとめた(右図)。どうやら、ここ3年間で恐怖に関する発表数に目立った変化はないようだ。

2012年9月11日火曜日

食行動の改善は、血中BDNFを増やす

Recovery of low plasma BDNF over the course of treatment among patients with bulimia nervosa.
Yamada H, Yoshimura C, Nakajima T, Nagata T.
Psychiatry Res. 2012 Mar 16.

 過食症患者ではBDNFが低値であるが、行動プログラムによる食行動改善により血中BDNF値も改善されたという研究

 Brain-derived neurotriphic factor(BDNF)とは、脳由来神経栄養因子であり、神経細胞の発生や成長、維持、修復に関与し、さらに学習や記憶、情動、摂食、糖代謝などにおいても重要な働きをする分泌タンパク質である。神経由来因子(neurotrophin)とは、神経細胞の発生、成長・維持・再生を促進させる物質の総称であり、これまでにさまざまな栄養因子が同定されている。神経栄養因子として最初に発見されたのは神経成長因子(NGF、1951)であり(発見者Levi-Montalchiniらはノーベル賞受賞、1986)、次いで1982年にNGFと近縁の遺伝子産物として脳由来神経栄養因子(BDNF)がBradeらによって発見された。(Nofujiら、2009)

2012年8月29日水曜日

情動制御のストラテジー

How to Regulate Emotion? Neural Networks for Reappraisal and Distraction
Kanske P, Heissler J, Schonfelder S, Bongers A, Wessa M
Cerebral Cortex 2011;21:1379--1388.

情動Emotionとは、恐怖、不安、喜びなど、快不快さまざまな感情の変化をさす。
不快な情動はストレスになるので、動物は成長の過程で、不快な情動が起きないように制御することを学習する。
臨床心理学分野ではよくその情動制御の方法(上手な考え方)をストラテジーと呼ぶ。


ある不快な写真、たとえば生々しい傷や、動物の死体や、昆虫ののった食品を見たとき、「うわっ嫌なものを見てしまったな」と思うだろう。
そんなときに誰しも無意識に使っている情動制御のうち、主なストラテジーは二通りである。

・ Reappraisal(再評価): 自分に起こった情動をメタ認知的に再評価すること。「なぜ自分は写真で不快になったのか」「これはただの写真なのに」「自分には関係ない」「写真で不快になるなんて無意味だ」といった考え方。
・ Distraction(阻害、気をそらす): 情動を起こしたものとは別の情報に注意を向けること。「そんなことより~を考えなきゃ」と考える。

前者は外部情報を重く受け止めすぎる精神疾患、たとえば不安神経症、うつ病などに対する認知行動療法で、患者に中心的に学ばせる手法である。
また後者の例には、自閉症児が新規な環境にストレスを感じたとき、外部情報入力を絶って、自分の好きなもの(たとえば電車の駅名、算数の問題)を考えるという対処法がある。

2012年7月30日月曜日

非認識下では恐怖は素早く獲得され、すぐに忘れられる

Raio CM, Carmel D, Carrasco M, Phelps EA.
Curr Biol. 2012 Jun 19;22(12):R477-9.

   脅威の可能性を持った刺激に対して学習していくことは適応能力の一つである。

   ある視覚刺激が脅威を持った刺激と組み合わされたとき、生理学的及び神経学的反応を示すようになる。

   さて、この視覚刺激による関連学習が我々の意識に上る時と、上らない時で違いはあるのだろうか?

最近の意識と情動学習に関する総説により、意識の有無によって神経活動のパターンや行動・生理学的反応のタイムコースが異なることが示唆されている。

この研究はヒトでの恐怖条件づけ課題により、上記の示唆を確かめようという研究である。